今回のQobuzissimeは、オーストラリア・ナームのシンガー・ソングライター、Angie McMahon(アンジー・マクマホン)の感動的な2ndアルバム。オーストラリア屈指のシンガー・ソングライターの凱旋作だ。

※Qobuzissime(コバズィシム)とは、Qobuzの国際音楽チームがアルバムに与える賞である。この賞にノミネートされる作品は、デビュー・アルバムまたは2ndアルバムであること、音楽の世界に何か新しくエキサイティングな貢献をすること、そして24bitハイレゾであることが条件となる。

人生に困難はつきものだ。アンジー・マクマホンも、この4年間、現代社会で最も大きな戦いのいくつかを経験してきた。物事が終わること、世界が燃えていること、自分が後期資本主義のストレス要因に束縛されて生きていること、そして、ありのままの自分を受け入れることを学ぶという、終わりのない旅路--私たちの周りには不愉快な嵐が渦巻いているが--言うは易く行うは難し。2枚目のアルバム『Light, Dark, Light Again』では、マクマホンは活動休止中に抱いた違和感を分かち合うことを恐れず、多くの人の思いを生々しくソウルフルな音楽に昇華している。

Angie McMahon - Light, Dark, Light Again (Official Album Trailer)

Angie McMahon

1曲目「Saturn Returning」の出だし、“Baby I forgive ya/ Angel in the mirror/ Here we are now that you quit being a quitter”はこのアルバムの冒頭にふさわしい(土星回帰は占星術における転換期であり、人生における大きな変化と感情的・精神的成長をもたらす)。デビュー作の『Salt』が非常に直接的でダイナミックだったのに対し、『Light, Dark, Light Again』は傷つきやすくソフトで、まるで彼女の傷を一緒に覗き込むような親密な空気を作り上げているように感じられる。

ビクトリア州メルボルンのナームとノースカロライナ州ダーラムの間で書かれたこのアルバムには、「Letting Go」、「Mother Nature」、「I Am Already Enough」のような、丘の上から叫びたくなるような広がりがある。しかし、他の「Divine Fault Line」のような曲では、暗闇の瞬間を洞察し、それをどう乗り越え、やがてどう光を見出すかを分かち合っている。「あなたは今夜、自分自身の境界線のダークサイドにいる/ そして、あなたはすべてめちゃくちゃにされ、死にたくなっている/ そこが脱獄が始まる場所だ」と、コーラスでマクマホンの天使のような声が語りかけてくる。

プロダクションの要素、マルチトラックやシングルボーカルの使用、鳥の声や自然の音など、歌詞やディテールのひとつひとつが深く考慮されている。それらはすべて、真に特別な何かを体験する感覚に寄与している。アーティストが自分の魂の周りの層を引き剥がし、傷をさらけ出すことで、私たちリスナーが、幸運であれば最後に何かを得ることができるかもしれないという希望を抱いているのだ。

Light, Dark, Light Again』は、マクマホンの経験だけでなく、人類の経験についても書かれている。闇と光の間の絶え間ない押し引き、平和な瞬間と純粋な混沌の瞬間、陽の中の陰と陰の中の陽。生があり、死があり、死からまた生が生まれる......闇からまた光が生まれる。“Out of ash and destruction, the ground will grow things. (灰と破壊から、大地はものを育てる)”


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