ポスト・パンクのアイコンであるロル・トルハースト(Lol Tolhurst)とバッジー(Budgie)が、豪華スターを迎えて猛烈にフレッシュなアルバム『Los Angeles』を発表。まさに”Qobuzissime”だ!

Qobuzissimeとは、Qobuzの国際音楽チームがアルバムに与える最高の栄誉である。この賞にノミネートされるには、デビュー・アルバムか2ndアルバムであること、音楽の世界に何か新しくエキサイティングな貢献をすること、そしてもちろん24bitハイレゾであることが条件となる。ポスト・パンク界の2大レジェンド、ロル・トルハースト(ザ・キュアー)とバッジー(スージー・アンド・ザ・バンシーズ)によるこのコラボレーション・アルバムは、彼らの全盛期から大きく発展したこのジャンルに新鮮なテイストを提供しており、それゆえこの作品は理想的なQobuzissimeと言えるのだ!

Los Angeles (feat. James Murphy)

Lol Tolhurst x Budgie x Jacknife Lee

キュアーの共同創設者であり元ドラマーのロル・トルハーストと、スージー・アンド・ザ・バンシーズのビートキーパー、バッジーが初めて出会ったのは、1979年にバンドがツアーを共にした時だった。近年、2人はポスト・パンクのポッドキャスト「Curious Creatures」のホストを始め、それがやがてプロデューサーのジャックナイフ・リー(Jacknife Lee)との音楽的コラボレーションにつながった。当初はインストゥルメンタル・アルバムとして構想されていたこの『Los Angeles』は、LCDサウンドシステムのジェームス・マーフィー、プライマル・スクリームのボビー・ギレスピーロニー・ホーリーといったゲスト・ボーカリストに加え、U2のギタリスト、ジ・エッジやハープ奏者のメアリー・ラティモアといったミュージシャンを迎えて、時間をかけて進化していった。

ある意味、このアルバムは2人のコラボレーションに期待されていることがそのまま実現されているものであるといえる。クラウトロック、エレクトロ、ポスト・パンクの影響を受けた催眠術のようなグルーヴを持つリズムヘビーな曲たち。シンセサイザーが脳のシナプスのように鳴り響く「Everything and Nothing」では、反復するドラム・パターンが目まぐるしく疾走する。エッジをフィーチャーした推進力のある「Train With No Station」では、まるで雲の切れ間から太陽が顔を覗かせるように、賑やかなエレクトロニック・スタティックの間からビートの効いた繰り返しのメロディーが顔を覗かせる。

他のゲストは、もっと知られている。ギレスピーが参加している曲は(意外にも)プライマル・スクリームの様々な姿に似ている。「This Is What It Is (To Be Free)」は『Screamadelica』のゴスペル調のカタルシスに、「Ghosted at Home」は『Vanishing Point』のダークなエレクトロに近い。モデスト・マウスのアイザック・ブロックは、ダンサブルな(そして適切なタイトルである)「We Got to Move.」で熱狂的なボーカルを披露している。そしてマーフィーは、LCDサウンドシステムをより冒険的にしたような、喉を鳴らす苦悶の叫びと歌を「Los Angeles」で披露している。

しかし、この『Los Angeles』は、あまり知られていない声がスポットライトを浴びることで輝きを増す。パン・アムステルダムはミニマルでジャジーなヒップホップの代表曲「Travel Channel」で印象的だ。スタークローラーのアロー・デ・ワイルドは灼熱のゴシック・ブルース・ロックを率いるボーカルを披露している。また、リズムの重い実験的なトラック 「Bodies」では、メアリー・ラティモアが妖艶なハープで曲を盛り上げる前に、ホリーがまるで地獄の業火の説教師のように指揮をとる。参加したアーティストの経歴を考えれば驚くべきことではないが、『Los Angeles』は聴き馴染みのあるサウンドを猛烈に新鮮に聴かせ、音楽が終わった後も長く余韻を残す。